のんさんと細谷さんの映画「この世界の片隅に」のネタバレ(あらすじ)をまとめた2つ目です。
前回までの「この世界の片隅に」
「この世界の片隅に」ネタバレ2
呉での新しい暮らし
初夜の翌朝から、彼女の新しい暮らしは始まった。
足を悪くしている義母に代わり、北條家の家事を一手に引き受けるのだ。
朝も早くから起きて、井戸に水を汲みに行き、みんなの朝食の準備を始める。
まだ薄暗い呉の街。
けれどそこかしこで煮炊きをする煙が出始めていた。
配給当番もすずが参加する。
喧嘩ばかりの二人の間に入って、大変そうではあるが、ぼんやりなすずの思いがけない行動に、なんとなくみんなが和んでしまう。
そうしていつしかご近所にも受け入れられていた。
里帰り
周作の姉の径子が娘の晴美を連れて訪ねてきた。
継ぎ接ぎだらけのモンペの彼女に、「冴えない」といい、今すぐ着物を直しなさい!と言うのだ。
思い返して見ても、裁縫は苦手だった。
祖母に教えて貰った時も「これじゃお嫁に行かれない」と言われたものだ。
それでもこうして見知らぬ土地に嫁いで来たのだ。
しばし着物を眺め、こっそり障子を開けて径子を盗み見る。
腰の辺りの作りはどうなっているのだろう?と。
そうして径子の着ているものを参考に着物を裁断。
ほどいて切って、また縫い合わせると言う作業。
途中夕飯の支度の時間になったが、配給を貰いに行くのも、食事の支度も径子が代わってくれたのだ。
そうして彼女は作業に専念し、無事に着物を仕立て直した。
ついでに自分の着物の布の一部で、晴美に巾着も作ってあげた。
そうして家族が食卓に着いた時、径子が広島帰りを提案してきた。
周作や彼の両親も「気が利かなくてすまんかった」と二、三日ゆっくりしておいでと里帰りをさせてくれたのだ。
ハゲ
里帰りし、家族とのんびりと過ごす。
みんなで囲んだ食卓で、兄の話が出た。
そういえばすずが祝言の後に出した葉書にも、未だ返信がない。
けれど兄の赴任先は遠いし、何より兄は筆不精だ。
だから大丈夫と、みんなでそう言い聞かせる。
その後妹のすみとともに入浴、彼女の職場の話を聞いた。
大変じゃろ?と案じるすずに、「海苔の仕事みたいに寒ないし、ええこともあるよ」と言うのだ。
なんでも美男子の兵隊さんが、彼女に食券をくれたりするのだと。
湯上りはすみと布団を並べて語り合う。
濡れ髪をとかしてくれたすみが、そこですずの頭にハゲを見つけてしまったのだ。
「海軍の機密に触れてしもうた」とふざけた調子のすみに「なんのことね」と問いただすも「はよ、寝よ」と電気を消されてしまう。
けれど、暗い部屋で布団をかぶると、ボソッと教えてくれたのだ。
「すずちゃん、頭にハゲ出来とるよ」と。
気づかれていたハゲ
広島から呉に戻ると、まだ径子と晴美が居た。
相変わらずご飯の支度は、径子がテキパキとこなしていた。
掃除を終えたすずは、ぼんやりと外を眺めていた。
以前にも増してぼんやりなすずを案じた義母が、「どうかしたんかね?」と尋ねるも、「回覧板、回してきてもええですか」と、質問に答える事なく外へ出ていった。
そうして一度家まで戻ったすずだったが、「ふでを貸して」と晴美が母にねだり、「あんたにはまだ使えんでしょ」と径子が嗜める声が。
その声がしたからか、それともぼんやりしているからか、すずは辺りの草を取り始めた。
そうして段々状になっている、北條家の畑へやってきて、そこでたんぽぽの綿毛をふーっと飛ばしていた。
するとそこに周作が帰ってきた。
戻った周作は、すずの様子がおかしいことに気づき、「なんや、広島が恋しゅうなったんか」と、彼女の頭を撫でる。
けれどハゲを知られたくないすずは、その手を退けてしまう。
今度は港に見える船の説明をしてくれた周作だったが、やっぱりいまいち話を聞いてない様子。
だから彼は今度は鳥の話をして「こっちや」と彼女の頭を押さえて、鳥を見せようとする。
けれど頭に触れられるのを嫌うすずは、「見えとります」とやはり手を振り払う。
そんなぼんやりとしつつ、少しご機嫌斜めなすずだったが、大きな船を見つけて声を上げる。
「周作さん、あれはなんですか?船ですか?」と。
周作は、それは大和で、東洋一の軍港で作られた世界一の戦艦なのだと教えてくれた。
さらには人がざっと2700人乗っているとも。
そんな大勢の食事を作ったり、洗濯したり大変だろう…と前のめりになったすずは、そのまま段々状の畑から一段分落下。
そんなすずを助けようとした周作も、巻き込まれて落ちてしまった。
頭に土をつけた彼女の土を払おうと手を伸ばすと、すずは周作のその手をまた払う。
だから周作はついに口にしたのだ。
「のう、すずさん。ハゲは気にすると悪化するで」と。
バレていた事が分かれば、もう気を張らなくて済む。
今度は和やかに周作とともに帰宅すると、まだ晴美が筆をねだっていた。
「筆でなにするの」と尋ねられた晴美は「すずさんの頭を黒く塗ってあげたい」と言うのだ。
そう、晴美もまたすずのハゲに気づき、目立たないようにしてあげたいと、子供心にも思っていたのだった。
楠公飯
径子と晴美が嫁ぎ先に帰り、また北條家は四人の暮らしに戻った。
さて、これからはまたすずが食事で腕を振るう番だ。
「よーし!」と気合を入れたものの、その頃には一気に配給の量が激減。
一家四人の3食分がイワシの干物四匹だ。
さてどうしたものか?
悩んでいたすずは、配給当番で親しくなった刈谷さんに、メニューの相談をして、色々と教えて貰った。
ノートに絵を交えてメモを取る。
そうして刈谷さんに教えて貰ったメニューに挑戦。
少ない配給ではあるが、知恵と工夫で、様々な料理を作っていくすず。
夕飯の食卓には、随分と沢山の品が並んだのだ。
ご飯の配給が少のうて、いもの多いおかゆさんですが…と、言うすずは、「ほいでも明日は任してください」と自信ありげだ。
なんでも楠木公の楠公飯の作り方を調べて来たようだ。
夜のうちから準備をして、米を煎り、三倍の水で炊き、冷やさないように羽釜ごと木箱に詰めて、座布団を乗せて蓋をして寝かせる。
翌朝再び火にかけると、ご飯が膨れて量が増えると言う仕組みだ。
お茶碗にこんもりと盛られた米に、家族が感嘆の声を上げる中、いただきます!と口に入れてみると「うーん」と一同唸り声を上げてしまう。
量は増やせたものの、味はいまいちだったようだ。
それでも彼女はもちろん、みんななんとなく楽しそうだった。
防空壕
呉では空襲警報が頻繁になって来た。
近隣では建物疎開でよそへ行く人もで始めた。
そろそろ防空壕を掘らなければ…と周作と話しながらかまどの火を見ていると、径子がやってきた。
径子の嫁ぎ先の時計店も、建物疎開の対象となり、家族で下関へ行く事になったらしい。
けれどそれに納得出来なかった径子は、離縁して晴美を連れて実家へと帰って来たのだ。
そうして家族が増えた事で、予定より少し大きめに防空壕を作る事に。
ご近所さんにも手を借り、家族で穴を掘る。
中に使う柱や畳は、姉が建物疎開となった嫁ぎ先から持ってきたものだ。
掘った土が庭に山積みになっていたのを見たすずが、周作に「後で畑へ持っていってもええですか?」と頼み、畑へと運んでいくと、晴美がそこで軍艦を見ていた。
声をかけたすずに、晴美は様々な軍艦について教えてくれた。
まだ幼いながらも、軍艦が好きなのだろう、とても詳しいのだ。
その後大雨で急ぎ帰宅し、周作に晴美の軍艦の話を聞かせた。
「周作さんが教えたんですか?」と。
そう思って晴美の話も聞いていたのだが、晴美の言う「お兄さん」は周作ではなかったらしい。
「軍艦好きのひー坊が教えたんじゃ」と。
そして「いつかすずさんにも紹介したいのう」と。