のんさん、細谷佳正さんの映画「この世界の片隅に」のネタバレ(あらすじ)をまとめた1つ目です。
「この世界の片隅に」ネタバレ1
二人の出会い
作った海苔を届けに出たすず。
ぼーっとしている彼女は、道に迷ってしまった。
そんな彼女を助けてくれたのは、大きな体に大きな籠を背負ったばけもんだった。
ばけもんは彼女を肩に乗せ、望遠鏡を覗かせてくれたのだ。
遠くまでよく見えると喜んでいたすずはバランスを崩し、ばけもんの背中に背負った籠の中に落下した。
するとその籠の中には知らない少年がいたのだ。
その少年の話によると、自分たちは攫われたのたと言う。
「困ったねぇ。夕方までには鶏に餌をやらんといけんのに」とすずが言うと「わしも父さんと汽車で帰らんといけんのに」と少年が同調する。
すると今度は「わしも夜が来る前に帰らんと、えらい事になる」とばけもんまで同調したのだ。
だからすずは考えた。
夜にしてしまえばいいのでは?と。
そうして持ってきた海苔に星や月をくり抜き、望遠鏡の先端にくっつけた。
「これを覗いてみんさい」と、作ったそれをばけもんに渡したすず。
するとばけもんは何の疑いもなく、それを覗き、目の前に現れた夜の景色に、パタリと倒れてしまったのだ。
どうやらえらい事と言うのは、夜になると眠ってしまうと言う意味だったようだ。
そうして籠から落ちた二人は無事に解放されたのだ。
少年は「あんがとな、浦野すず」と別れ際に声をかけた。
名乗った覚えはないのに、一体どう言う事だろう?と思った彼女だったが、ばけもんが倒れた時に、彼女の下履きに書かれた名前が見えていたらしいのだ。
ぼんやりした彼女だから、妹に話しながらも分からなくなっていた。
これが現実なのか、そうでないのか。
とんでもない出来事なので、なんとなく白昼夢でも見たような気分になってしまったすずだった。
座敷わらし
ある夏の大潮の日、すずは兄と妹と三人で海を歩いて渡り、草津の祖母の家へ。
父と母は買い物があると言う事で別行動。
途中転んでドロドロになり、そのショックからか、三人で練習した挨拶も上手くいかなかった。
けれど祖母が彼女達の為にと、新しい着物を仕立ててくれていて、それに着替えて満足した様子の子供達。
その後両親も合流し、お墓まいりをしてみんなで食事をして。
お腹を満たした後は、三人並んでお昼寝の時間。
その時すずが天井をぼんやりと見ていると、天井裏から見知らぬ少女が現れた。
髪はボサボサ、服はボロボロ。
一見して少女だとは分かりにくい容貌だ。
そうしてみんなの食べたスイカの皮にかぶりつき、食べ始めた少女。
その姿を見ていたすずは「こんにちは」と声をかけると、少女は会釈で返してくれた。
一心不乱にスイカの皮にかぶりつく姿に、「それ、もっと持ってきましょうか?」と尋ねるとコクリと頷く。
皮だけじゃなくスイカを食べてもらおうと、すずはちゃんと赤い部分のあるスイカを持ってきたのだが、その時には少女の姿は消えていた。
困っている彼女に、祖母は「そこに置いておいたら、また食べに戻って来るじゃろ」と言うのだ。
「着物も置いておいたら、着てくれるじゃろうか?」と呟くと「すずちゃんは優しい子だね」と祖母が褒めてくれた。
だから彼女はスイカだけでなく、着物も少女の為に置いてきたのだ。
その少女の話に「それは学校の先生が言うてた座敷わらしじゃろ」と言う兄は、着物を置いて来た事をひどく怒っていたのだった。
それでもあの後あの少女が着物を着てくれている様子を想像し、絵にすると嬉しい気持ちになるのだった。
海のうさぎ
その日の最後の授業は図画だった。
自由課題で絵が完成したら、帰ってもいいと言う事になった。
絵の得意なすずは学校を描き、先生にも褒められてすぐに帰る事が出来た。
帰宅後、コクバを拾いに出た彼女は、そこで水原と出会う。
水原は水難事故で兄を亡くしていた。
そして絵を描かずに、ぼんやりと海を眺めていたのだ。
声を掛けるのを一瞬ためらったすずだったが、「水原さん、絵を描かんと帰れんよ」と声を掛けた。
なんでも水原の両親は、酒ばかり飲んで荒れている為、家に帰りたくないんだとか。
おそらく兄を亡くしたショックからなのだろう。
そうして彼も兄の命を奪った海を好きになれず、絵を描きたいとは思えないのだと言う。
「そんなに言うならお前が描けや」そう言われたすずは、彼の画材を使い絵を描き始めた。
白波がうさぎのように見えるから…と、「うさぎがようけ跳ねよる」と呟く彼。
だから彼女は夕暮れ時のオレンジの暖かい空と、その色を写した暖かい海に、白いうさぎが跳ねる様子を描いた。
そして中央には、そんな海を見つめる水原の後ろ姿。
優しい絵だった。
暖かい絵だった。
だから彼は「こんなん描かれたら、嫌いになれんじゃろうが」と呟き、その絵を持って帰って行った。
彼女の描いた優しい暖かい海が、彼の辛い思い出を少しは塗り替えたのかも知れない。
見初められて
18歳になったすずは、草津の祖母の家に妹と共に、海苔作りの手伝いに来ていた。
ひと段落ついて、お昼を食べていた時、箸の持ち方から、遠くに嫁ぐとか、近くに嫁ぐと盛り上がっていた時だった。
彼女を嫁に欲しいと言う人が呉から訪ねて来ているから、早く家に戻るように…との知らせが。
そんなすずに祖母は、すずの嫁入りの為にと仕立てておいてくれた着物をくれたのだ。
そして祝言の時に傘の話をされた時の受け答えを教えてくれたのだった。
意味はよく分からない。
分からないが、なんとなくわかった。
うちは大人になるんだ…と。
そうして実家に戻ってはみたものの、顔を出す勇気がないまま、相手の様子を覗き見ていたすず。
「こっちの学校にいた頃、どこかで出会って息子が見初めたようなんです」と、相手の父親が話している声が聞こえた。
その声に、口の中にキャラメルのような味が広がる感じがしたのだった。
結局顔を出さずに山の中でぼんやりしていたところに、彼女を嫁に欲しいと訪ねて来た周作と父の円太郎が道を尋ねてきたのだ。
そうして道案内をした。
祖母から貰った着物を頭から被り、顔を隠していた。
だからきっと顔は見られてはいないはずだ。
しばらくして、山で道に迷った所を珍奇な女に助けられて無事に帰れた…と円太郎から葉書が届いた。
呉への嫁入り
結局会わなかったものの、彼女の嫁入りはぼんやりしているうちに決まってしまい、気づいた時には呉行きの汽車に乗っていた。
父と母と、そして妹。
皆で彼女の祝言へと向かう。
バスでは行けない坂道を歩いて登ると、小林と言う年配の女性が。
両親が挨拶をするので、彼女は前に出て「末永くよろしゅうお願いします。ふつつかものですが、孝行します」と挨拶をしてしまった。
小林は仲人を務める周作の叔母なのだが、そそっかしいすずは、義母だと勘違いしてしまったようだ。
本当にふつつかな娘だった。
その後高台にある呉の隅っこの北條家へ。
そこで簡素な祝言が行われた。
戦時中だ、どこでもそんなものだったのだ。
祝言の時も、うっかりモンペのまま立ち会ってしまい、妹に声をかけられ、皆の前で慌ててモンペを脱ぎ晴れ着姿になったりと、彼女はどこでもぼんやりとしているのだった。
その夜、周作は彼女に「傘を持っとるかいね?」と尋ねた。
それは祖母に言われたあの言葉だ!と思ったすずは「はい、新(にい)なのを一本…」と答えると、「貸してもらえんかね」と予想外の返答が。
一体何をするのだろうと思いきや、彼は彼女の持ってきた傘で、窓の外に干してあった干し柿を取り、彼女にも分けて食べ始めた。
「腹が減ったのう」と呟きながら。
思い返してみれば、彼は祝言の席で全く食べ物を口にしていなかったのだ。
けれどこうして自分の目の前で、ちゃんと口から食べ物を食す姿を見て、安心したすずだったのだ。
そしてすずのそのリアクションに、思わず吹き出した周作は、干し柿だけでなく、種までしっかり飲み込んでしまった。
この先の「この世界の片隅に」
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